その日の作業を終え、汗を拭いながら車に戻る。長年使い込んだコーキングガンは、もはや体の一部だ。誰よりも速く、誰よりも美しく仕上げる自信がある。この技術一つで、これまで家族を養ってきたという誇りもある。
しかし、ふとした瞬間に、胸の奥がざわつくことはないでしょうか。
「現場では一番の腕なのに、給料は数年前に現場に入ってきた若手とさほど変わらない」
「雨が3日も続けば、その月の手取りはガクンと減ってしまう」
「会社の売上は、元請けからくる仕事の単価でほとんど決まってしまっている」
シーリング工事という専門職の価値は、決して低くありません。しかし、一つの技術だけに依存する働き方が、将来の収入アップやキャリアの安定という面で、大きな壁になっているのもまた事実です。
最近、「多能工」という働き方が注目されています。シーリングだけでなく、防水や塗装、外壁補修など、複数の工事に対応できる職人のことです。「稼げる」という話も耳にするかもしれません。
ただ、本当にそうなのでしょうか。
「結局、器用貧乏な“何でも屋”にされて、給料は上がらないんじゃないか」
「新しいことを覚えるのは大変だし、今さら他の職人に頭を下げて教わるのも…」
そんな不安や疑問を感じるのは、当然のことです。
この記事は、あなたと同じようにシーリング職人としての誇りを持ちながらも、将来のキャリアと収入に漠然とした不安を抱える方のために書きました。読み終える頃には、その不安が、具体的な行動を起こすための確信に変わっているはずです。
【この記事の目次】
・シーリング職人が年収を上げる3つの道筋と「多能工」という選択肢の現実
・「正直、最初はキツかった」- 元シーリング職人が語る、多能工1年目のリアル
・「何でも屋で終わる人」と「稼げる専門家になる人」- 多能工への転職、失敗の分岐点
・なぜ、私たちの会社では「シーリング経験者」が年収を上げながら成長できるのか？
・その不安、行動でしか解消できない。まずはあなたの市場価値を確かめませんか？
■ シーリング職人が年収を上げる3つの道筋と「多能工」という選択肢の現実
シーリング工事のプロフェッショナルとして、これから先のキャリアを考えた時、大きく分けて3つの道筋が考えられます。どれが正解というわけではなく、それぞれにメリットと、乗り越えるべき課題があります。
・専門性を極め、「一人親方」として独立する道
自分の腕一本で勝負する、職人としての理想形の一つかもしれません。仕事を取るのも、単価を決めるのも全て自分次第。実力があれば、会社員時代とは比べものにならない収入を得ることも可能です。しかし、その裏側では、営業活動、見積もり作成、材料の手配、経理処理といった現場以外の業務がすべて自分にのしかかります。仕事が途切れれば収入はゼロになり、怪我や病気は即、廃業に繋がりかねないというリスクも常に隣り合わせです。
・現場経験を活かし、「施工管理」へ進む道
プレイヤーからマネージャーへと立場を変えるキャリアパスです。身体的な負担は減り、安定した月給とキャリアアップが見込めます。あなたの現場知識は、工程管理や品質管理、職人とのコミュニケーションにおいて大きな武器になるでしょう。一方で、現場の最前線から離れる寂しさを感じるかもしれません。PCでの書類作成や関係各所との調整業務が中心となり、職人としての「ものづくり」の喜びからは遠ざかることになります。
・対応できる工事の幅を広げ、「多能工」を目指す道
そして、3つ目が多能工への道です。これは、シーリング工事を軸としながら、関連する防水工事や塗装、外壁補修などのスキルを身につけ、複数の役割を担える職人を目指す選択肢です。最大のメリットは、仕事の安定性。例えば、雨でシーリングが打てなくても、室内での補修作業を進めることができます。会社にとっても、一人の職人が複数の工程を担えれば生産性は格段に上がり、その分を給与として還元しやすくなります。ただし、この道で成功するには「どの会社で多能工を目指すか」が決定的に重要です。育成環境のない会社では、ただの雑用係で終わってしまう危険性もはらんでいます。
■ 「何でも屋で終わる人」と「稼げる専門家になる人」- 多能工への転職、失敗の分岐点
「多能工」という言葉の響きは良いですが、転職に失敗するケースも少なくありません。その多くは、入社前の会社選びの段階で、重要なポイントを見落としています。「稼げる多能工」を目指すはずが、気づけばただの「便利な何でも屋」で終わってしまう。その残酷な分岐点はどこにあるのでしょうか。
よくある失敗は、単に「幅広い工事をやっています」という会社の言葉だけを信じてしまうことです。入社してみると、体系的な教育制度などなく、現場で「見て覚えろ」の一点張り。結果として、どの技術も中途半端な知識しか身につかず、専門的なスキルを持つ職人として評価されません。シーリング以外の仕事は、簡単な清掃や材料運びといった補助作業ばかり。これでは、年収が上がるはずもありません。
後悔しないために、会社選びで絶対に確認すべき軸が3つあります。
・スキル習得を正当に評価する「制度」があるか
新しい技術を身につけたら、それが給与にどう反映されるのか。資格を取ったら、手当はつくのか。「頑張れば給料は上がる」といった曖昧な言葉ではなく、「〇〇ができるようになれば月給が〇円アップする」というような、スキルと給与が連動した明確な評価制度があるかを確認すべきです。それがなければ、会社にとって都合の良い人材として使われてしまう可能性があります。
・未経験の技術を基礎から学べる「教育体制」があるか
いきなり現場に放り込まれるのではなく、まずは先輩がマンツーマンで指導してくれるOJT体制があるか。あるいは、特定の技術（例えば防水）に関する社内勉強会や、メーカー主催の研修に参加させてくれる機会があるか。会社として職人を育てる意思があるかどうかは、こうした教育体制に表れます。
・会社の請け負う案件に「多様性」があるか
そもそも会社が請け負う工事の種類が少なければ、身につくスキルも限られます。シーリング工事だけでなく、大規模修繕工事全体を元請けに近い立場で受注している会社であれば、様々な工程に携わるチャンスが自然と増えます。会社の事業内容や施工実績を事前に確認することは、自分の未来のキャリアパスを予測する上で不可欠です。
■ なぜ、私たちの会社では「シーリング経験者」が年収を上げながら成長できるのか？
前述した「後悔しない会社選びの軸」は、そのまま私たちが大切にしている考え方でもあります。私たちは、職人が安心して新しい挑戦を始められ、その成長が正当に報われる環境こそが、会社の成長に繋がると信じています。
なぜ、シーリング工事の経験者が、ここでは着実に年収を上げながら成長できるのか。その理由を具体的にお伝えします。
まず、評価制度が明確です。「スキルマップ」という一覧表があり、「〇〇防水工事の主担当ができる」「外壁のひび割れ補修が一通りできる」といった項目ごとに、昇給額が細かく定められています。頑張りが曖昧にされることはありません。また、関連資格の取得にかかる費用は会社が全額負担し、合格すれば毎月資格手当が支給されます。あなたの挑戦を、会社が全力でバックアップする制度が整っています。
次に、教育体制です。入社後は、あなたのシーリングの経験を尊重しつつ、まずは先輩社員が必ずペアになって他の工事を教えます。いきなり一人で現場を任されることはありません。あなたのペースに合わせて、できることを一つずつ増やしていくスタイルです。シーリングで培った下地を見る目や、丁寧な作業の進め方は、他の工事でも必ず活きます。その強みを活かしながら、新しい技術を無理なく習得できる環境です。
そして、私たちは特定の工事だけを請け負う下請け業者ではありません。建物の調査診断から修繕計画の立案、そして施工までを一貫して手掛けるため、案件の幅広さには自信があります。シーリングだけでなく、防水、塗装、左官など、建物全体の知識と技術が身につきます。これは、単なる「作業員」から、建物全体を見渡せる「多能な専門家」へとステップアップできることを意味します。
もし、あなたが今のキャリアに少しでも不安を感じ、自分の可能性を広げたいと考えているなら、一度私たちの仕事内容やキャリアプランについて、詳しく聞いてみませんか。
（https://www.ina-co.jp/recruit）
■ その不安、行動でしか解消できない。まずはあなたの市場価値を確かめませんか？
この記事では、シーリング職人という専門性を持ちながらも将来に不安を感じる方へ、多能工というキャリアの可能性と、失敗しないための会社選びの基準についてお伝えしてきました。
一つの技術を極めることも尊い道ですが、その技術を土台にして、新しいスキルを掛け合わせることで、あなたの市場価値は何倍にも高まります。雨の日でも仕事があり、景気に左右されにくい安定した収入を得る。そして、建物全体を守れるという、より大きなやりがいを感じる。計画的にスキルを習得できる環境を選びさえすれば、それは決して夢物語ではありません。
「今の会社を辞めるつもりはまだないけど、話だけ聞いてみたい」
「自分のシーリング経験が、他の会社でどれくらい評価されるのか知りたい」
そんな風に思うのは、当然のことです。
転職は、人生における大きな決断。だからこそ、焦って決める必要は全くありません。大切なのは、まず行動を起こし、正しい情報を集めることです。あなたの胸の中にある漠然とした不安は、誰かに話してみることで、具体的な課題や目標に変わっていくはずです。
私たちは、あなたのこれまでの経験に敬意を払います。その上で、もしあなたが望むなら、ここでどんな未来が描けるのかを誠実にお話しすることをお約束します。まずは情報収集の一環として、お気軽にお問い合わせください。
