防水工から始める多能工という選択肢――幅広く活躍できる仕事内容のリアル

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建物を長持ちさせるために欠かせないのが「水を入れない」こと。屋上やベランダ、外壁などから雨水が入り込めば、内部の鉄骨や木材が傷み、建物そのものの寿命を縮めてしまいます。こうした劣化を未然に防ぐために行われるのが、防水工事です。目に見えにくい仕事ですが、建物の安全を支える重要な役割を担っています。


さらに、気候の変化やインフラの老朽化が進む今、防水工事の需要は年々高まっています。特に、台風や集中豪雨の影響を受けやすい地域では、防水性能の強化が急務となっており、防水職人への期待も大きくなっています。そして、防水は“やりっぱなし”で終わる工事ではありません。定期的な点検やメンテナンスが前提となるため、新築・改修のいずれの現場でも常に必要とされ続ける仕事です。安定したニーズに支えられているからこそ、経験を積みながら着実にスキルを育てられる。それが防水工の強みです。




防水工事の中身とは?下地から仕上げまで“任される”工程

防水工事と聞くと、ただ液体を塗るだけの仕事に思えるかもしれませんが、実際にはもっと奥深く、幅のある仕事です。たとえば、屋上ではウレタン樹脂を何層にも塗り重ねて防水層を作ります。ベランダや庇のような場所では、塩ビシートを貼り込んでいくこともあり、現場の状況に応じて最適な工法を判断しながら施工します。これは単にマニュアル通りに動く仕事ではなく、経験と判断が求められる職域です。


工事のスタート地点では、まず既存の防水層やシーリング材をきれいに撤去し、下地の状態を確認します。ひび割れがあれば補修し、浮いている部分があれば張り直すなど、下地整備の良し悪しが仕上がりを左右します。また、防水材の密着性を高めるために、表面をしっかり乾かしたり、プライマーと呼ばれる下地剤を塗布する工程も必要です。


使用する道具も多岐にわたります。ローラーやヘラ、コテ、熱風機、時には電動工具も用います。丁寧な作業が求められるだけでなく、材料の扱いにもコツがあり、現場での応用力が磨かれていきます。仕上がりが悪ければ漏水の原因となるため、常に気を抜けません。だからこそ、信頼される職人になるためには、手を抜かず、毎回の現場に真剣に向き合う姿勢が求められます。




防水+αのスキルが活きる|多能工として現場で頼られる存在に

防水工事の現場では、防水作業だけに専念できるとは限りません。たとえば、既存のシーリング材を撤去する際に電動工具が必要だったり、下地の段差を埋める左官作業が必要になることもあります。施工後の仕上げで簡単な塗装を任されたり、他職種との段取り調整を手伝ったりする場面も多く、いわゆる「防水だけ」の職人では対応しきれない工程が日常的にあります。


特に戸建住宅や中小規模のマンション改修では、“防水もできて他の作業もこなせる人”が重宝されます。「防水+左官」「防水+塗装」「防水+足場解体」など、職人一人ひとりの対応力が現場全体の効率に直結するからです。そうした人は“多能工”と呼ばれ、工程の合間を埋められる柔軟な存在として、現場での信頼も自然と高まっていきます。


多能工になるために、特別な資格や経験が初めから必要というわけではありません。まずは防水工としての基本をしっかりと押さえ、目の前の作業をきちんとこなすこと。そのうえで、周辺作業や必要な知識を少しずつ覚えていくことで、自分の職域を広げていけます。実際、道具や工法の理解が深まるほど、現場での判断力や応用力が身につき、「この人に任せておけば安心」と言われるようになります。そんな“+α”の価値を持つ職人こそが、これからの現場で必要とされる人材なのです。




手に職を超える武器に|多能工としてのキャリアの築き方

現場で幅広く活躍できるようになってくると、「職人」としてだけでなく、その先のキャリアを見据える段階に入ります。まずは防水工として信頼を得ることが出発点ですが、そこで終わりではありません。現場の段取りを組んだり、後輩を指導できるようになったりすれば、次第に「現場を回す立場」に求められるスキルも増えてきます。そうなれば、職長や現場代理人といったポジションも見えてきます。


資格取得も大きな武器になります。たとえば「防水施工技能士」は技術を証明する国家資格です。実務経験を積めば1級にも挑戦でき、より大規模で責任の重い工事に関われるようになります。また、現場全体を統括する「施工管理技士(2級・1級)」の資格を取れば、職人から管理職へのキャリアチェンジも可能です。技術と管理の両面を理解している人材は、どの会社でも重宝されます。


多能工の魅力は、ただ作業が増えることではなく、「選べる未来が増えること」です。防水工を軸に、手に職以上の“職域”をつくっていくことで、自分のキャリアを主体的にデザインできるようになるのです。


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体力や天候だけじゃない|長く働くための工夫と向き合い方

防水工の仕事にはやりがいがある反面、決して楽ではない一面もあります。代表的なのは天候の影響です。雨が降れば作業はストップ、晴れていても真夏の屋上は照り返しで40度を超えることもあります。冬場には手がかじかむ中での緻密な作業を強いられることもあり、気候への対応は日常的な課題です。


また、防水工事は「仕上がりで勝負が決まる」と言われるほど、目に見えない部分の精度が求められます。コーキングの厚さ、シートの密着具合、気泡の有無……ほんの少しの油断が、後々の漏水につながる可能性があるのです。つまり、毎回の現場で常に“正確さ”と“丁寧さ”を維持しなければならないという精神的なプレッシャーも伴います。


だからこそ、長く続けるためにはいくつかの工夫が欠かせません。まずは作業環境を自分で整えること。冷却ウェアや保温インナーなどを活用するだけで、体への負担は大きく変わります。また、予備日を見越した工程調整や、急な雨に備えた材料管理など、「リスクを減らす準備」が現場力につながります。


さらに重要なのは、人とチームの力です。しんどいときに声をかけ合える仲間がいるかどうか。ミスを責めるのではなくフォローできる関係性が築かれているか。そうした環境の有無が、定着率や満足度に直結します。個人技に見えがちな職人の世界ですが、実際には「チームで現場を動かす」仕事であることを忘れてはなりません。


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専門性を深め、応用力を広げる。それが現代の“生き残る職人”

防水工事の技術は、建物を守るために欠かせない専門職です。しかし、ただ専門を極めるだけでは、変化の激しい現場環境では対応しきれないこともあります。そんな時に頼られるのが、防水を軸としつつ、複数の作業をこなせる「多能工」の存在です。


防水を極めた先にあるのは、現場全体を見渡す力。そのために、視野を広げ、学びを止めない姿勢こそが、今後のキャリアを左右します。


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